今からもう、よく考えておくべきだ。
いったい何に元どおりになってほしくないのかを。※『コロナの時代の僕ら』(早川書房)より
イタリアの作家、パオロ・ジョルダーノさんが、新型コロナウイルス感染症が爆発的な勢いで広がっていた時に発した言葉です。
1918-20年のスペインインフルエンザ以来となる新型ウイルスのパンデミックは、日々の暮らし、地域社会、国内および世界の政治経済や保健医療、国際関係に大きな影響を及ぼし、私たちは今、大きな転換点に立っています。
米国で感染者が相対的貧困層に偏ったことからも、社会的格差を縮める必要性は明らかです。私たちは、大きな転換点のその先には、格差を縮め、自治する力を強くし、環境問題に真剣に取り組むことがあると考えます。今、私たちの国では、人と人が距離をとるための先端技術の活用や、AI・ビッグデータ・IoT・5Gの推進による経済のV字回復が声高に叫ばれています。社会や経済のあり方は、ひとつの方向へ雪崩をうったように向かうのではなく、もっと多様な未来が語られる中で転換が図られること大切ではないでしょうか。
感染拡大の脅威は過ぎ去ったわけではありませんが、次の感染拡大の波に備えつつ、「アフター・コロナ(コロナ禍後)」の社会と暮らしのあり方について、おおぜいの多様な声を集めました。何に元どおりになってほしくないのか、新たにどんなことを目指すのか、共に考えるためのメッセージ集です。
アフター・コロナ100人委員会実行チーム
市民メッセージ
人間活動の領域 ——奢らず、思慮深く
地球に生きる私たち 地球には多様な生物が、それぞれ居心地の良い環境で生きている。人間は己だけの快適を求め、他者の住む境界を侵し、破壊による成長は共存のバランスを崩した。目先の便利さに飛びつき、地球を壊すことに加担しない。
To be local ——地域に根ざす&分散型社会をめざす
海外依存からの脱却を 食糧、生活用品、医療品など、海外依存から脱却するために、国産品を選んで購入する意識を広げ高める。国産品の利用を増やし、生産量を増やしていく。日本の良さ、大切さを皆で共感し分かち合う社会をめざす。
自治への意志と管理・監視の強化への危惧
自粛警察の意味を問う 自粛警察は何を意味しているのか? 正義の味方面をした価値観の押し付けが、世間体を大事にしてきた日本でこれまで以上に幅を利かせる事態だけは、何としても避けたい。
前向きに生きる、ゆったりと生きる
時間的にも経済的にも心にも余裕のある生活を 死に物狂いで働かなくても生きていける世の中になって欲しい。 もっと時間的にも経済的にも心にも余裕のある生活を送れるように。
私は考え続ける、そして訴える
コロナ禍で問われたのは、国政を代表している方々に、国民から負託に応える立場と責任があるとは思えない安易な発言が多いことでした。世界的潮流の「新しい生活様式」を、善悪は別として私達は健気に受けとり、多くの人が一人ひとり自覚を持ってこれを乗り切ることを今も考えていると思います。