今こそ公文書の作成・保存・公開の徹底を!
瀬畑 源
龍谷大学准教授 日本近現代史研究者

来年2021年は、情報公開法施行20年、公文書管理法施行10年にあたります。この2つの法律は、政府に説明責任という概念を一定程度植え付けることに寄与しました。その後も情報公開や公文書管理をめぐる不祥事は後を絶ちませんが、法があることによって問題が可視化されたのです。
新型コロナウイルス感染症の政府専門家会議の議事録が未作成であり、それを問題ないと政府は説明します。未曾有の事態においてすら、政策の根拠となる公文書をまともに作ろうとしない政府。しかし、これは安倍政権になって始まったわけではありません。日常的な公文書管理のずさんさが、この事態を招いているのです。
今まで私たちは、何か問題があるときに、政府や自治体に根拠となる公文書を出せと言い続けてきたでしょうか。そして、政府や自治体はそれに誠実に応答してきたでしょうか。
手続きを無視し、思い付きで決断していることを「リーダーシップ」だと勘違いしてはなりません。政治の責任とは、後から歴史の審判に耐えうる文書を作成し、公開し、市民の信頼を勝ち得るものであるべきです。
危機の時代であるからこそ、改めて、公文書の作成、保存、公開の徹底を求め、政策の根拠を問い続けなければならないと考えます。