現代社会の脆弱性や矛盾が露呈
湯浅 一郎
特定非営利活動法人ピースデポ代表

2020年のコロナ事態は、生物多様性を脅かす人類文明に対する警告である。人類が利潤追求と効率性を最優先させる経済活動を拡大させ、無制限に開発を推し進めることで、際限のない生物多様性の低減を引き起こしてきたことが、コロナ禍のような感染症の発生要因と考えられるからである。他方で、新型コロナ感染事態を通して現代文明社会の脆弱性や矛盾がより鮮明に見えている。また、核兵器を初めとした「軍事力で平和を担保する」という思想も問われており、核兵器廃絶や脱軍備は、その視点からますます切実なものとなっている。コロナ事態の中で、平和構築と文明のあり方の双方を考えていかねばならない。